猪の頭骨ができるまで
南房総エリアの里山では年間1万頭ものイノシシが捕獲されています。農家さんにとってイノシシによる農作物への食害や畦の掘り返し被害は死活問題で、行政が「獣害」と位置づけて有害駆除を推進しています。捕獲されたイノシシは9割以上が廃棄されているのが現状で、食肉として利用されるのはごく僅か、骨までとなると極めて一部の人しか利用していません。
それは何故か。
ひとつは手間が掛かります。頭骨の状態にするまでには4つの工程を経ます。
①頭の毛皮や肉をナイフで削ぐ
②鍋で煮込んだ後、肉片や脳みそを掻き出す
③洗浄剤に浸けた後、小さな肉片を取る
④除光液に浸けた後、乾燥させて完成
全ての工程が完了するまでにおよそ2,3日掛かります。
ふたつは趣味の域を出ません。手間を掛けて処理をしても利用方法が無いので捕獲個体全てをすることはありません。
里山素材研究所では、処理をした頭骨を「素材」として販売します。使い方は購入された方しだい。アート作品、インテリア、はたまた想像も付かないようなことに利用されるかもしれません。